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この記事に書いてあること:型破りなベルギービール「白濁」を徹底解説(どんなビール? 味は? どこで買えるの? 何円位? 度数は? 種類は?)
1.「白濁」とは
「白濁」とは、ベルギースタイルを標榜しながら、敢えてコリアンダーやオレンジピールを利用しないで作られたホワイトビールです。
1-1.パッケージについて
このビールの一番の特徴は、なんといってもそのパッケージの作り。
普通の缶ビールとは逆さまにプリントされています。これは、ビール内の濁り(酵母)が飲むときに均一になるように設計された仕掛けです。
飲むときに、缶を逆さにせざるを得ないので、自然と缶の中でフワッと濁りが舞い上がり均一になるというわけ。
お店に陳列する店員さんがうっかり間違えないように、丁寧にこのようなラベルまで貼り付けられています。
じゃあ、底の部分が飲み口になって不衛生では?と心配になりますが、飲み口の面には透明のプラスチックのケースが被せられていて衛生面でも安心です。
なお、このパッケージデザインは、日本のデザイン事務所「カミヒコーキ」が担当しているようです。
1-2.素材や製法について
それでは、味わいに影響する面について見ていきましょう。
輸入元の日本ビール株式会社のページよりも、KALDIのページの方が詳細な記載がありますので、そちらを参考にしていきましょう。
特別な白生酵母を発酵用、熟成用と二回使用する画期的な二段仕込を手法とし、その白生酵母をフィルターに掛けないことで風味豊かな香りの白濁を創り出しています。スパイス(コリアンダー、オレンジピール等)を入れず、通常のベルギー白ビールにない、小麦の特徴を全面に押し出した製法を採用することで、豊潤な味わいの中に、花のような香りとわずかな酸味がバランスの良い白ビールとなっています。
KALDI 白濁の商品ページ
気になるキーワードが満載です。
「白生酵母」これが特に一般的ではない用語で、日本語、英語ともに本商品に関連するもの以外出てきません。そのため、白く濁らせるホワイトビール用のエール酵母のオリジナル版ととらえておけば良いと思います。
次に、「スパイスを入れず」という文言。ヒューガルデン(参考:「Hoegaarden White(ヒューガルデン・ホワイト)」の詳細情報)などのベルジアンホワイトと言われるスタイルのビールは、基本的にはコリアンダーとオレンジピールが入っていることが多いです。
ところが「白濁」にはそれが入っていない。と。入れなくてもベルジアンホワイトと呼んで良いのかは賛否両論ありそうですが、とにかく入っていないのです。
それにより、その次のキーワード「小麦の特徴を全面に押し出した」が可能となったのでしょう。
コリアンダーとオレンジピールは味と香りに複雑さや華やかなさを加えてくれますが、そこを引き算することで、隠れていた小麦の魅力を引き出すという発想は新鮮です。
1-3.醸造所について
缶には醸造所についての記載がなく、日本ビール株式会社のサイトにも詳細な記載がないため、この記事上「醸造所不明」のままとするところでした。しかし、更によくよく調べてみると、この商品の前身が「にごり白生」という商品であろうということが見えてきました。
ここで3つの説が浮上します。
- 「マルテンス醸造所」説:過去の「にごり白生」の記述をWeb上で探すと、「にごり白生」は、ベルギーのマルテンス醸造所が作っていたと書かれています。ただし、個人ブログばかりで、醸造所名が記載されていそうな缶の側面の写真もなく真偽が定かではありません。
- 「リバ醸造所」説:日本食糧新聞の1998年の記事に「にごり白生」の記事があり、その中で「同社とベルギー在リバ社が二年間にわたる共同研究で開発した~」との記載があります。新聞ということもあり、「じゃあリバ社で決まりだ」と思って、リバ社というのを調べてみると、これがなかなか出てこない。リバグループという大きな会社は金属スチールの会社で違いそうです。やっとのことで、オランダ語のWikipediaに「Brouwerij Riva(リバ醸造所)」を見つけました。一番これっぽいですが、2007年に倒産しているようです。名前を変えて再建している可能性は0ではありません。
- 結局「不明」説:1と2は、あくまで前身の商品「にごり白生」の醸造所であり、「白濁」にモデルチェンジして、醸造所が変わった可能性もあります。缶のラベルには「ベルギーから直行便!!」とあるので、ベルギーのどこかで作れらているのでしょう。レシピがあれば、他の醸造所に依頼しても醸造可能だと思われますので、真相は、闇の中です。
2.味わい(実飲レビュー)
まずパッケージの確認です。
1で散々触れているので今回はさらっと。
ベルギーなのに、漢字がデカデカと主張しており、和洋折衷の不思議で印象に残るデザインです。
注ぎます。
当然文字は逆さになります。
その名のとおり、濁っています。ただ、名前から想像するよりは濁っていない印象です。
小麦の甘い香りと、レモンのような香りや柑橘系の香りを感じます。オレンジピールが入っていないのに不思議です。
それでは、いざ。
口当たりはまろやかです。
小麦の甘みを感じたのち、フルーティな香りが鼻を抜け、また仄かな甘みを感じます。
少し薄い印象ですが、旨いです。
ほわーーーっとリラックスできる香りが心地よいビールです。
BEER PRESS JAPAN的には、新しいベルジアンホワイトの形、リラックスできる旨さが良いということで、「リピあり」という評価になりました。
3.購入場所・最安値
ナチュラルローソンや、成城石井、KALDI等のおしゃれ系スーパーで購入可能です。
4.CM・関連動画
「白濁」のCMや関連動画は、現在放映されていません。
5.商品情報
【ビール名】白濁(しろにごり)
【種類】Belgian White(ベルジアン・ホワイト)
※Belgianスタイルでは一般的なスパイスが、このビールでは使われていないので、Belgian Whiteと言って良いものか微妙なライン。
【アルコール度数】5%
【産地】ベルギー
【生産者】マルテンス醸造所?リバ醸造所?不明?
【輸入者】日本ビール株式会社
【原材料】大麦麦芽、小麦麦芽、大麦、小麦、ホップ、天然白生酵母
【生産者候補URL】https://www.martens.be/en/
参照1:日本ビール株式会社「白濁」商品公式ページ ※アイキャッチ画像の左側の写真は当サイトより
参照2:KALDI「白濁」商品公式ページ
参照3:日本ビールが日本初の白生酵母使用「にごり白生ビール」発売 日本食糧新聞
参考5:カミヒコーキ公式ページ